SES契約書でよく見る条項と注意点
SES契約準委任契約法律知識

SES契約書でよく見る条項と注意点

SES(準委任契約)でよく使われる契約書の条項を解説。SES営業担当者として知っておくべき法的知識と、トラブルを避けるためのチェックポイントを紹介します。

2026年5月12日|Zianser編集部

SES契約書の基本

SES(システムエンジニアリングサービス)では、主に準委任契約が使われます。これは「仕事の完成を約束するのではなく、業務の遂行を約束する」契約です。

請負契約との違い

項目 準委任契約(SES) 請負契約
責任範囲 業務遂行の善管注意義務 成果物の完成責任
指揮命令 発注元はNG(偽装請負に注意) 不要
報酬 時間・人月ベース 成果物ベース
代替要員 必要に応じて 不問

契約書でよく見る重要条項

1. 業務範囲

第〇条(業務の範囲)
甲(発注者)は、乙(受注者)に対し、〇〇システムの開発・保守に関する
業務を委託し、乙はこれを受託する。

注意点: 業務範囲が曖昧だと、後から「これもやってください」と追加作業を求められるトラブルになります。できる限り具体的に記載しましょう。

2. 稼働時間・精算幅

第〇条(稼働時間)
1ヶ月あたりの稼働時間を140〜180時間とする。
この範囲を超過・下回った場合は、以下の精算レートを適用する。
超過: 月額単価 ÷ 基準時間 × 超過時間
不足: 月額単価 ÷ 基準時間 × 不足時間

注意点: 精算幅(140〜180h)は必ず確認しましょう。幅が狭いと(例: 160〜180h)、繁忙・閑散で単価が大きくブレます。

3. 指揮命令系統

SESで最も重要かつトラブルになりやすい条項です。

偽装請負の判断基準:

  • 発注者側の社員が直接指示を出している → 偽装請負の疑い
  • 出退勤・休暇の管理を発注者が行っている → グレーゾーン
  • 業務の優先順位を発注者が決めている → 要注意

準委任契約では、指揮命令権は受注者(SES会社)にあるのが原則です。

4. 秘密保持(NDA)

第〇条(秘密保持)
乙(SES会社)は、業務上知り得た甲の機密情報を第三者に漏洩してはならない。
本条の義務は、契約終了後〇年間継続する。

注意点: 秘密保持期間(通常2〜5年)と、どこまでが機密情報に該当するかを確認しましょう。

5. 知的財産権の帰属

第〇条(知的財産権)
本業務により生じた成果物に関する知的財産権は、甲に帰属する。

注意点: 成果物・ツール・コードの著作権が全てクライアントに帰属する場合、そのコードを他の案件で流用することはできません。

6. 損害賠償の上限

第〇条(損害賠償の制限)
乙の損害賠償責任は、業務委託料の〇ヶ月分を上限とする。

注意点: 上限がない場合は、大きなミスが起きたときに多額の賠償責任を負うリスクがあります。上限条項を必ず入れましょう。

7. 契約解除・終了

第〇条(契約の解除)
甲または乙は、相手方が本契約に違反した場合、書面による通知をもって
本契約を解除することができる。

注意点: 中途解約の際の予告期間(通常1〜3ヶ月)を確認しましょう。急な打ち切りへの対策になります。

SES契約でよくあるトラブルと対策

トラブル1: 残業代・超過精算の未払い

稼働時間の記録を必ずエビデンスとして残しましょう。勤怠システム・チャットのログが証拠になります。

トラブル2: 業務範囲の拡大

契約書に記載のない業務を求められたら、「新たな業務委託として別途見積もりが必要です」と毅然と伝えましょう。

トラブル3: 急な契約打ち切り

予告なし・短期間での契約打ち切りは損害賠償の対象になり得ます。契約書の解除条項を証拠として交渉しましょう。

まとめ

SES契約書は「後でトラブルになった時のための保険」です。業務範囲・稼働時間・指揮命令・知的財産・損害賠償の5点を特に注意深く確認する習慣をつけましょう。不明な点は法律の専門家(弁護士・社会保険労務士)に相談することも重要です。

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